ミノルタ MC 55mm F1.7 レビュー【1万円以下ではじめるオールドレンズ】

カメラを始めて半年が経過し、新しい描写を求めて50年以上前につくられた「オールドレンズ」を最近使いはじめました。

購入したオールドレンズはMINOLTA MC ROKKOR-PF 55mm F1.7。僕はSONY α7 IIと組み合わせて使っています。

かんたんにフィルム風の写真が撮れたり、F値の高いレンズを安く手に入れることができるのでミラーレスカメラをお使いの方におすすめしたいです。購入時価格は5,500円(税込)だったのでかなり安価にはじめられます。

今回はオールドレンズを「今」はじめる理由を深掘りするとともに、ミノルタのオールドレンズを選んだ理由と作例も合わせて紹介します。

特に注意書きが無い縦横比が3:2の画像はすべてオールドレンズで撮影しました。JPEG撮って出しです(カメラの設定もデフォルトです)。記事内では圧縮されていますが、クリックすると元の画質で表示できます。(1枚あたり3~10MBとかなり高画質なので元の画質で表示する際は通信料に注意してください)

オールドレンズを「今」はじめる理由

1. フィルムっぽい写真が撮れる

オールドレンズはフィルムカメラ時代のレンズ(30~50年前くらい)なので、現行のデジタルカメラと組み合わせると、今のレンズには出せない独特の雰囲気が出るんです。

やわらかい雰囲気の写真や、ちょっとレトロでノスタルジーな写真がオールドレンズなら簡単に撮ることができます。

オールドレンズの写りの特徴は主に以下の4つです(レンズにもよります)。

  • フレアやゴーストが発生しやすい
  • 色収差(写真の隅にかけて色がズレる現象)が発生しやすい
  • 周辺減光(写真の隅にかけて暗くなる現象)が強く出やすい
  • 「くっきりはっきり」よりも「やわらかふんわり」な写真が撮れる

フレアとはレンズの中で光が反射して写真全体が白っぽくなる現象のことです。上の風鈴の写真も若干フレアが入ることで、やわらかいふんわりとした印象の写真になっています。

ただしフレアが入りすぎると下の写真のようになってしまうので注意してください。

↑右上がぼんやり赤くなっていてリングのような反射も見られますが、これがゴーストです(多分)

また色収差や周辺減光は以下の写真がわかりやすいと思います。

↑四隅にかけて暗くなっているのが周辺減光です。左端のアコムのあたりを拡大すると独特のもやがかったような、色がズレたような描写になっていますが、これが色収差です。

これらの特徴は技術の進化によって、今のレンズではあまり見られなくなりました。(周辺減光は開放F値だと今も結構起きる)

だからこそオールドレンズの「味」が新鮮に見えて、最近ブームになりつつあるんです。

僕もこの独特な描写に挑戦してみたくてオールドレンズを始めることにしました。

2. フィルムカメラより手軽に始められる

オールドレンズはフィルムカメラ時代のレンズなので、だったらフィルムカメラで撮ればいいのでは?と思う方もいると思います。

しかし今からフィルムカメラを始めるにはかなりハードルが高いです。考えられるハードルは少なくとも以下の4つです。

  • 写真を撮るために必要なフィルムが高額(1個1500円~)
  • そもそもフィルムが手に入りにくい(品薄)
  • 撮ったその場でどんな写真が撮れたかわからない
  • 写真の現像のためにカメラ屋さんに行く必要がある

もちろん「フィルムでしか撮れない写真が撮れる」ことや「現像するまでどんな写真が撮れているかわからない」という点はフィルムカメラにしかない魅力でもあります。

ただ「利便性と不便さのバランス」を考えると、ミラーレスカメラとオールドレンズの組み合わせがちょうどいい選択だと思います。

オールドレンズも多少不便なところはありますが、絞り(F値)が手動調節のみでオートフォーカスが使えなくてちょっと不便、という程度でフィルムカメラほど不便ではありません。

フィルム風の写真をデジタルでお手軽に楽しむという点で、オールドレンズはとても魅力的だと思います。

オールドレンズはフィルムカメラより手軽に始められると書きましたが、ミラーレス一眼カメラを持っていることが前提になります。全くカメラを持っていない場合、数千円から購入できるフィルムカメラの方が初期費用は安い可能性があります。ただしデジタルとフィルムは特性が違いすぎるので、自分が撮りたい写真が撮れるかどうか、よく理解してから検討することをおすすめします。

3. 小さくて明るい単焦点レンズが安く買える

僕がカメラを買って最初に買ったレンズが、タムロンの高倍率ズームレンズ(TAMRON 28-200mm F2.8-5.6)でした。

これ1本で広角から望遠まで本当になんでも撮れるので他のズームレンズを買う気が起きないくらい気に入って使っていました。

ただ半年間使っている中でいくつか不満点も出てきました。

まずは「重さと大きさ」です。レンズ単体で575gあり、本体と合わせると約1.2kgもあるので、常用するには少し重さが気になります。

また重さ以上に大きさの問題もありました。レンズ自体がかなり大きいので持ち歩くカバンが限られてしまい、気軽に持ち出すことができなかったのです。

単焦点レンズならズーム機構が無い分軽くて小さいレンズが多いので、持ち歩くには単焦点レンズの方が向いていると思いました。

次が「F値」です。F値が低くなるほど明るい写真が撮れるだけでなく、より背景をボケやすくできるため撮れる写真の幅を広げてくれるメリットがあります。

タムロンのレンズはF2.8スタートなので高倍率ズームレンズの中では高性能な方ですが、もっと明るい世界(F2以下)を見てみたいと思ってしまいました。これがいわゆるレンズ沼というやつです。

小さい、軽い、明るいレンズ」となると単焦点レンズ一択となるので、使ってみたい気持ちが大きくなりました。

↑明るいレンズになるほど、背景の玉ボケが大きくなります(F1.7で撮影)

カメラのレンズはF値が低くなるほど高額になる傾向があります。現行レンズで単焦点レンズを買おうとすると安くて3万円からなので、カメラ初心者の自分からするとちょっと手が出しづらいと思ってしまいました。

しかしオールドレンズなら安いもので数千円から買うことができます。ミラーレス機に装着するために必要なマウントアダプターも3000円程度なので、合わせても1万円あればお釣りがきます。

オールドレンズを今のカメラで使うことは、マウントの大きさや形が違うため通常はできません。ミラーレス機ならマウントアダプターを間に挟むことで使えるようになります。(ミラーレスではない一眼レフカメラでは構造上使うことができなかった)

今回僕が買ったオールドレンズは5500円(税込)だったので、かなり安く始めることができました。 

購入したオールドレンズは「MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mm F1.7」

1966年発売(57年前!)のオールドレンズです。

焦点距離は55mm。今のスマホで例えると2倍ズームくらいの画角になります。

重さがレンズ単体で226g、マウントアダプターが119gで合計345gのレンズとなります(実測)。僕が使っているα7 IIと合わせると960gでした。

レンズとマウントアダプターを合わせた長さを測ったところ6.8cmでした。

カメラにつけた状態で比較するとこんなに大きさが違います。重量もタムロンのレンズ(575g)より200gほど軽くなったのでとても持ち歩きやすくなりました。スマホ1個分と考えるとかなりの軽量化です。

長さが短くなったおかげで、カメラが今まで入らなかった小さいショルダーバッグにも入れることができるようになりました。カメラを持つかどうかで悩んだ時に、バッグに入らないのが理由で持たないことが多かったのでより持ち歩く機会が増えたような気がします。

オールドレンズ購入は店頭がおすすめ

僕はこのレンズを秋葉原にあるオールドレンズ専門店「2ndBASE」さんで購入しました。

オールドレンズは基本的に中古なので、実際に手に取ってみると想像以上に状態の差を感じます。例えばピントリングを回してみると、スムーズに回るものあれば劣化でリングが重たくなり回しにくくなっているものもあるなど、かなり違いがあります。

今回購入したレンズはリングが回しやすく、状態が良いものを選びました。

オールドレンズを初めて購入する方は店頭で実際に見て購入する方が安心して購入できると思います。

2ndBASEさんは店頭に置いてあるカメラで試写させてもらうこともでき、また店員さんが本当に親切でとても良いお店だったのでおすすめです!

MC ROKKOR-PF 55mm F1.7を選んだ理由

ミノルタのオールドレンズを選んだ理由は3つあります。

ミノルタのカメラはソニーの前身だから

カメラ好きの方なら知っている方も多いと思いますが、ソニーのαシリーズのカメラはもともとミノルタのカメラの名前だったんです。

αシリーズのカメラは1985年にミノルタが世界初のオートフォーカスカメラ「α-7000」を発売したことに始まります。

その後ミノルタはコニカと合併してコニカミノルタとなりますが、採算が取れず2006年にカメラ事業から撤退し、ソニーに事業をまるごと譲渡することになりました。

こうしてソニーがαシリーズを引き継いで今に至る、という経緯があります。

今回購入したミノルタのMCレンズはαシリーズが始まる前に作られていたレンズなので互換性は無いですが、ご先祖様(?)にあたるレンズを今のα7で使うのって、なんだか感慨深いものがありますよね。

※もちろんソニーのカメラではミノルタ以外のオールドレンズも使えます

デザインが好き

最初のオールドレンズによくおすすめされるレンズが、アサヒペンタックスのSuper Takumarと言われています。安価できれいな円形のゴーストが出やすいということで人気のレンズです。

個人的にデザインだけで見たらミノルタの方が好みだったことと、2nd BASEさんで見たときにSuper Takumarは1万円程度のものしか無く、今回は少し予算オーバーだったので見送ることにしました。あと持っている人が多いので人と被りたくなかった、というのもあります。

それからミノルタのMCレンズはコーティングの色が緑色になっているのも特徴です。光に当てたときに緑色に反射して、とてもきれいな見た目にひかれました。

くもりありでも写りに影響がなさそうだった

店頭ではBランクで「くもりあり」という表記でしたが、実際に店頭でくもりなしのものと比較して試写させていただいたところ、写りの違いが全くわかりませんでした。

そこまで写真に影響がなさそうだったので、価格も安くてデザインが好きなこのレンズを購入しました。

オールドレンズの使い方

普通のオートフォーカス(AF)レンズと違うのは、「ピントリング」と「絞りリング」の操作です。現行のAFレンズと現行のカメラの組み合わせならピント合わせも絞り調節も自動でやってくれますが、基本的にオールドレンズはどちらも手動でやる必要があります。

このレンズの場合、上のリングがピント合わせをするためのピントリングで、下のリングがF値の調節をする絞りリングです。

ピントリングの一番小さい数字が最短撮影距離となります。緑文字がフィート単位で、白文字(中古なので黄ばみがある)がメートル単位の表記となっています。

このレンズの場合は最短が0.55mなので、55cm以上離さないとピントが合いません。手動でピントを合わせるのは最初は難しいですが、慣れるとむしろAFより写真を撮ってる感があって、これはこれで楽しいです。

絞りリングは左の数字が小さい方が絞り開放の状態、右に回すほどレンズが絞られていきます。このレンズの場合はF1.7からF16まで絞ることができます。1.7の次が2.8で間がないのが惜しいポイントです。

F値で変わる色収差の違い

一般的にカメラのレンズは絞りを絞るほど色収差や周辺減光が発生しにくくなると言われています。

そこでオールドレンズのF1.7・F2.8・F4と、比較対象として僕が元々持っていたTAMRON 28-200mmのF3.5(50mmの開放F値)を同じ場所で撮り比べしてみました。

色収差を見るために左下のアコム付近を拡大したものがこちらです。

F1.7ではもやっとしていたビルが、F4まで絞ると比較的くっきりしていることがお分かりいただけるでしょうか。もっと絞るとさらにくっきりします。

F1.7の開放ではオールドレンズならではの描写を楽しみつつ、F値を4以上に絞ることで現代的なくっきりした描写もできてしまう、1本で2度おいしい撮影体験が可能です。

さすがに現行レンズのタムロンと比較すると劣りますが、オールドレンズしかもっていない時のためにF値を上げて撮ることを覚えておくと便利です。

まとめ:独特の世界観をたのしもう

オールドレンズはこの独特の描写がハマる人には本当にハマると思います。僕もこの独特の描写にハマってしまいました。。

価格も安いので初心者でもはじめやすいですが、レンズによって癖があるのでよく調べてから購入することをおすすめします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。僕が使っているマウントアダプターのリンクはこちらです。

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