GoogleドメインからCloudflareへ移管した話:メリットと注意点を解説
Googleドメインが終了するので、Cloudflareに移管しました。
先日GoogleドメインがSquarespace社に事業売却することが発表されました。Squarespace社はいわゆるWixのようなホームページ作成サービスを提供するアメリカの企業です。
このブログのドメイン(tanukizzan.com)もGoogleドメインで3年ほど管理していました。
当面はGoogleで管理できて価格も変わらず提供されるようですが、現時点でSquarespaceが日本語に対応していないこと、先行きが不透明なことをふまえてCloudflare Registrarにドメインを移管することにしました。
今回はCloudflareにドメインを移管するメリット・デメリットと移管する際に参考にした記事を紹介します。
Cloudflare Registrarを移管先に選ぶメリット
ドメインを原価で販売
Cloudflareのドメインは原価販売されていることが特徴です。
ドメインを卸しているICANNの卸売価格で提供しているため、Cloudflare側の手数料は取られません。
例えば「.com」ドメインは現在9.77ドル(1,400~1,500円程度)で販売されています。
(2023年9月1日に9.15ドル→9.77ドルに値上げ)
これ以外にドメイン維持にかかる費用はありません。逆に言えばキャンペーンで安くなることも、複数ドメインの登録で割引などもありません。
円安の影響で日本円にすると割高に感じますが、国内の他のレジストラと比較してもそこまで高いわけではありません(むしろ安い)。以下に.comドメイン更新時にかかる費用の比較表を用意しました。
Cloudflare | Xserverドメイン | お名前.com | ムームードメイン | Googleドメイン(参考) |
---|---|---|---|---|
9.77ドル(約1500円) | 1,428円 | 1,408円+サービス維持調整費 | 1,728円+サービス維持調整費 | 1,400円 |
お名前.comやムームードメインなど、GMO系のドメインレジストラでかかるサービス維持調整費とは、厳しい社会情勢の中でサービス維持のためにドメイン費用の10~20%程度を加算して請求するものです。
サービス維持調整費は1~3ヶ月ごとに見直され、お名前.comでは現在、21.0%(2023年9月1日から適用開始)加算されるようです。
ちなみに国内のドメインレジストラでは、初回購入時に1円で登録できたり、サーバーを契約するとドメインが無料で保有できたり、ドメインを複数個持っている場合更新費用が割引になったりなどの施策がたくさんあるため、使用シーンに合わせてドメインを管理すると良いと思います。(そのせいでわかりにくくなっている側面もある)
筆者は1つしかドメインを持っていないため、シンプルな料金体系のCloudflareを選びました。
機能面がGoogleドメインとほぼ一緒
↑念のため更新日等は隠しています
Googleドメイン同様に、WHOIS代行(ドメインの個人情報を匿名化する機能)やDNSSEC、ドメインロックなどのセキュリティがデフォルトで適用されています。
独自ドメインのメールを送受信する機能(メールルーティング)も無料でついてきます。これは独自ドメインのメールアドレスを作成してGmailなどに転送できるサービスで、設定すればGmailアプリから独自ドメインのメールアドレスで送信もできます。(Cloudflare側にメールの内容は保存されません)
複数の独自ドメインメアドから1つのGmailアドレスに転送することもできます。またEmail Workers(ベータ版)という機能もあり、カスタムスクリプトを作成して特定の要件にしたがってメールを処理することができます(Slackへの通知など)。
レンタルサーバー等を借りなくても手軽に使えるため、このブログのお問い合わせ用メールにも利用しています。
Googleドメインと異なる点は、ネームサーバーが無料プランではCloudflare DNSに固定されることです。
カスタムネームサーバーを使うにはBusinessプラン(有料)にアップグレードする必要があるため、最初から別のネームサーバーを使う予定の方にはおすすめできません。
高機能かつシンプルなデザイン
ドメインの購入から管理画面まで、広告が一切ないことはもちろん、シンプルで見やすいデザインになっています。余計なダイレクトメールも来ません(国内の一部レジストラde頻繁に来るらしい…)。
管理画面の見やすさは最初にGoogleドメインを選んだときにもこだわったポイントです。Googleドメインの管理画面は他のGoogleサービスと統一されたデザインとなっているため非常に使いやすかったです。
Cloudflareの管理画面はCloudflareサービス全体のダッシュボードに取り込まれており、シンプルで統一された見た目が好印象ですが、若干慣れが必要な印象です。
ドメイン自体の移管や管理画面はアカウントページの階層にありますが、ドメインの設定(DNSやセキュリティなど)はアカウントページのホーム画面から自分のドメインを開く必要があります。
またCloudflareはかなり多機能なサービスなので、Googleドメインからの移行だけなら使わない機能が多いです。
基本的にドメインの初期設定に必要な機能は「DNS」と「SSL/TLS」の項目だけです。独自ドメインメール(メールルーティング)を使う場合は「メールアドレス」も使います。
これらの機能はもちろん他の機能もほとんどすべて無料で使えてしまうんです(一部制限あり)。今は使わなくても、将来的に活用できるかもしれないのでドメインごと移管することにしました。
Cloudflareを使うデメリット
Cloudflareでドメインを管理するデメリットは主に以下の4つです。
- ドル決済のため円相場の影響を受けやすい(円安だと価格が高くなる)
- .jpドメインが登録できない
- カスタムネームサーバーが有料
- 海外のサービスなのでドキュメントが基本英語
- 機能が多すぎて初心者向きではないかも
国内の利用者にとって.jpドメインが使えないのは結構痛いです。.comや.netなどの世界的にメジャーなドメインはほとんど利用できますが、対応するドメインが少ないのはデメリットとなります。(.co.jpや.tokyoなども利用不可)
その他のデメリットについては、ある程度ネットの知識がある方なら使いこなせるはずです。
GoogleドメインからCloudflareに移管する方法
ドメイン移管に関するCloudflare公式ドキュメント(英語)はこちらです。
Googleドメインからの移行作業を日本語でわかりやすく解説されている記事はこちらです。
移管する前に忘れがちなのがDNSSECの解除です。ネームサーバーをGoogleからCloudflareに変更する前にDNSSECも解除するとより安全に移行できるようです。(参考:バリュードメイン)
移管したドメインはサブドメインを変えて以下のホスティング・ブログサービスで使っています。
- tanukizzan.com → Vercel(ポートフォリオ・現在はCloudflare Pagesに移行)
- app.tanukizzan.com → GitHub Pages(Webアプリ)
- blog.tanukizzan.com → Blogger(このブログ)
移管はかんたんだけど、サイトの表示までに一苦労…
移管作業自体は1時間程度で完了しましたが、サイトが表示されるまでに結構苦労しました。
概要だけ書くならば、「SSL/TLS 暗号化モードをフルに変更」して、それでも表示されなかったら「DNSのプロキシステータスをDNSのみに変更」すれば大抵のサイトは表示できるはずです。(時間が経てば直ることもあります)
GitHub PagesとBloggerでドメインが機能するまでにやったことと、VercelからCloudflare Pagesに移行するときにハマったポイントについては、後日改めて詳しく解説します。
シンプルなCloudflareにドメインを移行しよう
さいごにGoogleドメインからCloudflareにドメインを移行するメリットとデメリットを表にまとめます。
メリット | デメリット |
---|---|
ドメイン価格が原価 | ドル決済(円安の影響を受けやすい) |
料金体系がシンプル | .jpドメインが登録できない |
Googleドメインとほぼ同一のセキュリティ | カスタムネームサーバーが有料 |
メールルーティングが無料 | ドキュメントが基本英語 |
管理画面のデザインがシンプル | 機能が多すぎて初心者向きではないかも |
余計なダイレクトメールが来ない |
デメリットもあるものの、.jpドメイン以外のドメインをお使いの方はGoogleドメインから移行にかなり適していると思います。
次回はCloudflareにドメインを移管した後の設定について解説します。RSSやX(Twitter)で更新情報をお知らせしているので、フォローよろしくお願いします。
追記:Cloudflareドメインに移管後サイトが表示できないときの対処方法をまとめました。