SONY α7 II レビュー:1年使い込んでわかったこと

10年前のカメラですが、まだまだ現役です。

α7 IIを昨年1月に中古で購入して、ちょうど1年が経ちました。

今回は長期使用レビューとして1年間実際に使ってわかった「α7 IIを今選んでも良い理由」を、デザイン・価格・レンズ・性能の4つの面からじっくり解説していきます。

僕はこのカメラで写真を始めました。はじめての本格的なカメラとしてはこの上ない選択ができたと感じています。本当に気に入っています。

↑こちらの記事は買ってすぐの頃に「初めてのカメラに選んだ理由」として書いたものです。カメラをこれからはじめる方はこちらも読んでいただけるとより理解できると思います

作例紹介

まず僕がこの1年間で撮った写真の中からいくつか作例を紹介します。全てLightroomでレタッチ済みです。(記事中でも少し作例を紹介しています。)

動画の作例はこちらです。

一脚を持って少しずつ場所を変えて撮った動画素材を切り貼りして、Cinematic Vlog風に編集しました。

外観:いつ見てもかっこいいデザイン

とにかくデザインが最高です。

めちゃくちゃかっこいい。

所有欲をくすぐられます。

角ばった感じが懐かしくもあり新しくもあるような、ソニーならではのデザインだと思います。

レンズを含めた全体像はこんな感じ。本体がコンパクトなのでレンズが大きく見えます。(レンズはタムロン製のズームレンズ)

僕は手がそんなに大きい方ではないので、特にグリップが持ちづらいと感じることは無いです。

α7 IIは現行のソニーのカメラと比較して厚みが少し抑えられているので、古いはずなのに現行モデルよりスタイリッシュに見えます。

重量は599g(バッテリー・SDカード含む)。フルサイズカメラの中では軽い方です。

チルト液晶なのでローアングル(カメラを低い位置から上に見上げるように撮る手法)も撮りやすいです。

ボタン類も豊富です。それぞれカスタムボタンとして好きな機能を割り当てられるので自分好みにカスタマイズすることができます。(カスタム設定はまだ正解が見つかってないので今回は紹介しません)

タッチ液晶ではないことや、マルチセレクター(小さいジョイスティック)が無いためオートフォーカス(AF)は合わせづらいです。

普段はモダンなハイテクカメラのような風貌なのに、オールドレンズをつけると途端にクラシカルな印象になるのもいいですよね。

価格:コスパが最高に良い

予算10万円前後でカメラを選ぶなら、中古でα7 IIを買うのが一番コスパが良いと思います。

α7 IIはフルサイズミラーレスの中では最も価格が安い部類で、その割にはリセールバリューも高いです。

昨年の記事から中古相場をまとめた表を現在の価格に合わせて作り直しました。

カメラ本体 発売時価格 中古相場 中古買取価格 差額
α7 150,000 60,000 33,150 -26,850
α7 II 200,000 75,000 41,650 -33,350
α7R II 440,000 100,000 62,900 -37,100
α7 III 220,000 160,000 74,800 -85,200

※中古相場は2024年1月時点(Bランク品・じゃんぱら、キタムラ調べ)
※買取価格はじゃんぱら調べ、中古Bランク(付属品一部のみ)で比較

昨年はどういうわけか、α7 IIが初代α7よりもリセールバリュー(中古価格-買取価格の差額)が高かったんです。

今は中古相場が全体的に安くなったことと、買取価格がα7 II以外上がった(!)ため順当に初代α7のコスパが一番良くなっています。

ただし初代α7はボディ内手ぶれ補正が非搭載だったり、そのほかにも機能の差が大きいので個人的にはα7 IIをおすすめしたいです。

次世代機のα7 IIIは性能としてはIIよりも明らかに上がっています(特に動画)。

値段がまだまだ高いのとその割に買取価格も低いので、予算10万円以下で選ぶのであればα7 IIが一番ちょうどいい選択肢だと思います。

難点:新品が手に入りにくい

ときどきアマゾンのセールでα7 IIの新品が10万くらいで出ることがありますが、基本的に新品は販売終了しています。

どうしても新品でカメラが欲しいという方にはおすすめできません。

中古でも状態のいいものを選んで新品のバッテリーに取り替えれば、傷を除いてそれほど違いはわからないのではないかと思います。

なぜ、買う前から売るときのことを考えるの?

と思う方もいると思います。たしかにそのとおりです。

僕の場合は高いカメラを買うのが初めてだったので、いろいろな不安があったことが理由です。

古いカメラを中古で買うのが不安だったこと、高いお金を出して失敗するのが怖かったこと、カメラが生活に馴染むかどうかわからなかったことなど、思うことがたくさんありました。

仮に失敗したと思っても損失ができるだけ少ない選択をしたかったので、リセールバリューはかなり意識しました。

僕はα7 IIを買ってから、もっといいカメラが欲しくなることはありましたが買って後悔したことは一度もないです。

カメラ性能:腐ってもフルサイズミラーレス

α7 IIは10年前のカメラですが、今でも十分きれいな画質で撮ることができます。

センサーサイズがフルサイズなので、ボケ感の強い写真やより高画質な写真が撮影可能。

ボディ内手ぶれ補正(5軸4.5段)もついているので、手ぶれ補正のないレンズでも補正することができます。

ノイズは最近のカメラと比較すると出やすいようですが、今はLightroomのAIノイズ除去でなんとかなるだろうという気持ちで撮っています。


写真の色味に関しては、基本レタッチをするのであまり意識していません。画像処理エンジンの進化で最近のソニー機の色味はどんどん良くなっているので、比べると差があるかもしれません。

特に撮って出しでは世代間の違いが大きいようなので、現行のα7 IVの写真を見て古いα7 IIを買うとイメージ通りの写真が撮れないおそれがあります。


AF(オートフォーカス)の性能に関しては、他のカメラを使ったことがないので評価が難しいですがそれほど遅いと思ったことはありません。サードパーティ製レンズでも十分な速度で満足しています。

ただα7 III以降の機種と比較すると、スペックや操作性も含めて明らかにAF性能は劣るので、動物や動き物を撮る方は物足りなさを感じると思います。


写真を撮っていて少しだけ気になった不満点をあげてみます。

  1. 画面がタッチ非対応なのでピント合わせが難しい(MFに切り替えて対応)
  2. 動画ボタンを押し間違いやすい(設定で写真撮影時はオフに切り替え可能)
  3. サイレントシャッター非搭載(意外とシャッター音がでかい)
  4. ISO低速限界がない(最近のソニー機にのみ搭載?)
  5. APS-Cモードの切り替えにカスタムボタンを割り当てられない

どの不満点もすべて最近のソニー機(α7 III以降?)で解消されている問題なので、買い替えればきっと解決するはずです。

補足:ISO低速限界はISOを固定にしたときのシャッタースピードの低速限界値を設定できる機能で、APS-Cモードはフルサイズ機でAPS-Cサイズにクロップして1.5倍で撮影できるモードです。

APS-Cモード自体はα7 IIでも使えるんですが、切り替えが設定の奥にあってわかりにくいため不満点として上げました。後から編集でクロップすれば良いことなのでそれほど困ってはいません。

動画性能:10年前のスペック

明確にスペックが劣っているのが動画性能です。

画質設定はフルHD 60fpsまでしか対応していません。

4K動画やスローモーション撮影(120fps)には非対応で、手ぶれ補正も弱いので動画をやりたい方が買うカメラではありません。

4K撮影だけで言うと、新品で少し安く買えるソニーのAPS-Cカメラ「ZV-E10」でも対応しているので、動画目的なら別のカメラの選択肢を検討してみてください。

それでもわざわざ動画を撮ってみると、明らかにボケ感や画質が高く世界が違って見えました


映画などの映像制作で使われるLog撮影(S-Log2)には対応しているので、フルHDで十分という場合には使えると思います。

ただしLogに設定するとISO1600以上に固定されてしまうためNDフィルターは必須です。

作例紹介で載せたVlog動画(上野編)は、ピクチャープロファイルを以下の設定で撮影しました。

  • PP6
  • ブラックレベル:+5
  • ガンマ:Cine4
  • ブラックガンマ:範囲(中)・レベル(0)
  • ニー:オート
  • カラーモード:Movie
  • 彩度・色相:0
  • 色の深さ・ディテール:デフォルト

バッテリー性能:予備バッテリーは必須

↑バッテリーの型番はNP-FW50です

中古のバッテリーは劣化していると思ったので新品のバッテリーを購入しましたが、それでもバッテリー持ちは悪いと思います。

電源をつけっぱなしにしていると3~4時間で切れるような印象です。

カメラの起動は速いので、こまめに電源を切りながら撮るようにしています。

写真撮影に関してはバッテリーが2つあれば一日中スナップを撮り歩いても困らないと思います。


動画撮影に関しては予備バッテリーと充電器が必須です。(α7 IIに限らず?)

Vlog動画の撮影時も同様にこまめに電源を切って撮影していたところ、1時間分くらいしか撮影できませんでした。(連続撮影は未検証)

上記で紹介した上野のVlog動画では、5時間でバッテリーを2個使い果たしました。

動画を撮るときは予備バッテリーに加えてモバイルバッテリーや充電器も持ち歩くことをおすすめします。

ただし動画撮影はまだ経験が浅いので撮り方が間違っている可能性もあります。


またバッテリーの充電がmicroUSB端子なのは大きな弱点です。僕はサードパーティ製のバッテリー充電器を購入して使っています。

充電器側にUSB Type-C端子がついているので、モバイルバッテリーからの充電も対応しています。

バッテリーを2個同時に充電できるので、予備バッテリーも一緒に充電することが可能です。

長時間撮影する時は一緒に持ち歩くと安心です。

リンクはソニー製バッテリー(FW50)用の充電器ですが、他社のバッテリー向けの充電器も販売されています。

レンズ:サードパーティ含め選び放題

ミラーレス機の中で最もレンズが充実している(サードパーティ製含め)マウントはソニーのEマウントです。タムロンやシグマなど、さまざまなメーカーからレンズが販売されています。

価格.comのレンズページの一覧を見ると、ソニーのEマウントが406個、キヤノンのRFマウントが156個、ニコンのZマウントが166個でした(2024年1月25日現在)。

ミラーレスの中では圧倒的にソニー向けのレンズが豊富に揃っています。

基本的にカメラメーカーの純正レンズは高額です。そのためサードパーティ製の比較的安価なレンズが充実していることも考慮に入れることが重要です。

そこで選んだレンズが7万円で広角も望遠も撮れるズームレンズ「TAMRON 28-200mm F2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)」です。

タムロンの28-200mmが便利すぎる

僕はキットレンズは買わずにカメラ本体を単体で購入したので、最初に購入したレンズがタムロンの28-200mmのズームレンズでした。

買う前からこれ1本あれば他のズームレンズは買わなくてもいいと思っていて、むしろこのレンズがあるからソニーのカメラを選んだと言っても過言ではありません。(今のところソニー用しか販売してない)

実際に使ってみると本当に便利で、しかも写りが良いので他のレンズに興味が無くなりました。

ただしより明るく写る単焦点レンズは欲しくなったので、レンズ沼から抜け出せたわけではありません。

スペック的にも、広角側がF2.8と比較的明るいのでボケ感のある写真も撮りやすく、広角から望遠まで画質が劣化を感じることなく使えるので、不満が全くと言っていいほどありません。

↑広角端の最短撮影距離が0.19mなのでマクロレンズのような写真を撮ることもできます

↑望遠端で撮影した富士山の雪化粧。ディテールがすごく好きです


弱点として、サードパーティレンズは一般的に純正レンズに比べて相性の問題でAFが若干遅いと言われているので、AF性能を重視する方は注意が必要です。

そもそもα7 IIは現行機種に比べてAFがかなり弱いため、あまり関係ないかもしれません。

またF値が焦点距離に合わせて2.8から5.6まで変化するため注意が必要です。

僕は適当に写真を撮る時は開放固定で、映像を撮るときはF値が変わるとボケ感が変わってしまうので5.6〜10あたりで固定して使っています。

価格も中古で7〜8万円程度で購入できるので、ソニーのフルサイズカメラを購入したらまず最初の一本として強くおすすめしたいです。

おすすめしたいんですが、今のところ品薄状態が続いていて中古でも手に入りにくいことが難点です。

オールドレンズも使い放題

ソニー機はオールドレンズとの相性も抜群です。フィルムカメラ時代のレンズにマウントアダプターをつけることで現代のカメラで使えるようになります。

僕はα7 IIを買ってから半年くらい経った後に、1960年代のレンズ「MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mm F1.7」を購入しました。価格は5,500円でした。

わざわざ今のカメラで昔のレンズを使う理由は「独特のレトロな写り」と「明るい単焦点レンズが安価に買える」というところにあります。

上の彼岸花の写真のようなボケのにじみ感は、なかなか現代のレンズでは出しにくいと思います。オールドレンズならではの独特な雰囲気がとても撮っていて楽しい。

しかも1万円以下で買えるのではじめやすいことも魅力です。


オールドレンズの注意点は5つ。

  • 中古でしか売ってないので品質にばらつきがある
  • AFが使えない&F値をオートに設定できないのですべてマニュアル操作になる
  • F値やレンズの情報が写真に記録されない
  • APS-C機で使うと焦点距離が1.5倍になる(フルサイズは数値通り)
  • ミラーレスではない一眼レフ機では使えるアダプターが少ない

マニュアル操作は使っていれば慣れます。

ソニー機の場合、ピーキング機能(ピントが合っている面の表示)とピント拡大機能(C3ボタンを押すと被写体を拡大してピントの調節ができる)を使うことでMFでもかんたんにピントをあわせることができます。

なんなら写真を撮っている感が強くなって操作するのが楽しくなるほどです。

一眼レフ機でオールドレンズを使う場合、本体とは異なるメーカーのオールドレンズは仕様上マウントアダプターが存在しないことが多いです。(同じマウント(ニコンFマウントなど)同士の組み合わせならアダプター無しで使えることが多い)

ミラーレス機なら基本どのメーカーでも使うことができるので、オールドレンズ目当てでカメラを買う際はミラーレス機を選びましょう。


オールドレンズについて、詳しくは以前の記事で解説しています。

注意点:アプリの追加が2025年まで

α7 IIはPCと接続することでアプリをインストールすることができました。

しかし2025年8月31日ですべてのアプリのインストールができなくなります。

わざわざ入れたいアプリもそもそも少なく、有料のものは既に販売終了しているため問題は少ないと思われます。

ただスマホとワイヤレスで接続して遠隔でシャッターを切れるスマートリモコン機能もアプリを経由してインストールする必要があるので、これが使えなくなるのはデメリットになります。

花火撮影のようなシャッターを長時間開いて撮影するシーンで使っていたんですが、今後はシャッター用のリモコンを別で購入する必要があり少し不便です。

アプリは一度インストールすれば初期化するまで使うことができますが、2025年以降に購入した方は使うことができなくなるため注意が必要です。

※ちなみにα7 III以降のソニー機では「アプリ」という概念が無くなりスマートリモコンは標準搭載されています

詳しい情報は公式サイトをご覧ください。

お知らせ・メンテナンス情報 | PlayMemories Camera Apps

まとめ:「フルサイズである」ことに意味を感じるかどうか

最後にメリットとデメリットをまとめます。

メリット デメリット
本体デザインがかっこいい 新品が手に入りにくい
コンパクトで軽量 撮影時の便利機能の不足
中古7~8万円という低価格 4K・スロー非対応
フルサイズセンサー 充電がmicroUSB
ボディ内手ぶれ補正 バッテリー持ちが良くない
Eマウントであることアプリの追加が2025年まで

α7 IIは今買っても十分通用するフルサイズミラーレスカメラだと思います。

リセールバリューの高さを考えると、高額なα7 IIIよりも「II」をあえて選ぶという選択も写真用途なら十分です。

逆に言えば「フルサイズである」ということ以外のメリットが薄いカメラとも言えます。

ただ、APS-Cセンサーのカメラを新品で買い揃えようとすると、円安の影響もあってか中古のα7 IIよりも高くつくことが多いので、「フルサイズである」ことに魅力を感じる方には最高にコスパが良いと思います。

フルサイズデビューするなら今がチャンスです。


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